てりとりぃ放送局アーカイヴ(2013年4月19日〜2013年5月3日)

 「泣く子も黙る」アメリカの子ども向け番組「セサミ・ストリート」特集、第2弾です。全世界に強い影響力を誇る番組ですから、セレブ・スター達も喜んでコミカルかつ豪華なパフォーマンスを同番組に提供。まさに「セサミ〜」への出演は、アーティストにとってはトップランクのステイタスでもありますが、レコードでは楽しむ事ができない、興味深い一面を垣間みることができるのも嬉しいですね。(2013年4月19日更新分/選・文=大久)


Julie Andrews / Sesame Street Theme (1973)

一時期ハリウッドを離れ、TV番組に多く出演していた時期のジュリー・アンドリュースが73年にゲスト出演し披露したテーマ・ソングのカヴァー。「メリー・ポピンズ」時代のキュートさはそのままに、ゴージャスなBGMをバックに、ゴージャスなゴミ箱集団とのパフォーマンスを楽しめます。ちなみにジュリーは何度も同番組に出演していますが、セクシーにキメるこんなパフォーマンスも残しています。

Herbie Hancock teaches Fairlight CMI (1983)

なんとハービー・ハンコック先生が番組に出演、子供達に「シンセサイザーってのはこんなヘンテコな音が出るんだよ」とデモンストレーションする、素敵すぎる動画です。フェアライトCMIはサンプリング機能を持った世界で初めてのシンセサイザー(タッチペンで波形を編集することも可能)ですが、やっぱり子供にとっては最高のオモチャですもんね。同年「ROCKIT」を大ヒットさせたハンコック先生ですから、ノリノリなのも納得、ですね。

Seiji Ozawa and The All-Animal Orchestra (1988)

小沢征爾センセの指揮、プラシード・フラミンゴ(同番組中、オペラが得意なフラミンゴ、というキャラを持ったマペット)をソリストに据えたオール・アニマル・オーケストラによる、なんとも格式高い演奏です(笑)。こういうのを思い切りマジメにやってしまう小沢センセ、素敵ですよね。音楽とは関係ありませんが、日本人の出演、という意味ではこんな客演も残されています。

Gloria Estefan / 1-2-3 (1991)

ラテン界のトップ・シンガー、グロリア・エステファンも同番組には度々出演。こちらは91年、マイアミ・サウンド・マシーンの代表曲「1-2-3」を振り付け付きで子供達に教示する、という素敵映像です。英語だけでなく、スパニッシュでも歌っていることから、同番組の全米への影響力を伺い知ることもできますね。ちなみにこちらの動画は彼女が同番組の定番ソング「SING A SONG」を歌っている模様。

Tito Puente / Play the Timbale (1993)

マンボ/ラテン・ミュージックの神様のような存在でもあるパーカッショニスト、ティト・プエンテも93年に出演、豪快にティンバレをプレイしています。「何て言う楽器なの?」「ティンバレ。ティンバロとも言うんだ」「ティ、ティンバ・・・」「気にするな。今からやってみるから、1曲聞いたら名前も覚えるよ」。結局エルモくんは名前を覚えられませんでしたが(笑)。
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 ラムゼイ・ルイスのバンドが枝分かれする形で66年に米国シカゴにて結成されたソウル・インスト・バンド、ヤング・ホルト・アンリミテッド。師匠筋ともいえるラムゼイ・ルイスの「THE IN CROWD」の全米No.1ヒットに続いて、彼らも68年に「SOULFUL STRUT」という大ヒット・インスト曲(作曲はCHI-LITESのユージン・レコードと、CHI-LITESのプロデューサーだったソニー・サンダース/全米3位)を残しています。今回はそのソウル・インストのスタンダード「SOULFUL STRUT」のカヴァー聴き比べ、です。(2013年4月26日更新分/選・文=大久)


Tony Hatch & The Satin Brass / Soulful Strut (1970)

 英パイ・レーベルのみならず、イギリスのポップン・ソウルなアレンジャーとして知られるトニー・ハッチ。彼がサテン・ブラスというビッグバンドとの共演名義で70年に録音したジャズ・ファンク・アルバム『SOUNDS OF THE 70'S』より。「英国のバカラック」と呼ばれるトニー・ハッチですが、こういうファンキーな曲(しかもドラムが大迫力)にも挑むところがバカラックとはちょっと違うところなのかも。

Horst Jankowski / Soulful Strut (1970)

 イージーリスニング/ジャズ・ピアニスト、ホルスト・ヤンコウスキー。50年代には(ドイツ時代の)カテリーナ・ヴァレンテのバンド・リーダーだった彼ですが、60年代以降はリーダー作を発表するようになります。こちらは70年ドイツMPSレーベルに残された、オーケストラとの共演盤から。ジャケもそうですが、アドリブのプレイが少しだけフリーフォームを感じさせるのはやはり時代のせいでしょうか。

Marty Gold & His Orchestra / Soulful Strut (1971)

 んー、まさにイージーリスニング。しかもリズムはねまくり、というオサレ音源ですね。NY出身のマーティー・ゴールドは40年代から活躍する作曲家/アレンジャーですが、71年に彼のオーケストラ名義で発表されたアルバムから。この曲でリードをとるのはドナルド・ハルムという人が演奏するエレクトリック・アコーデオンで、この楽器はアコーデオンなのにオルガンとかシンセみたいな音が出せる、という珍しい楽器です。

George Benson / Soulful Strut (1979)

 トミー・リピューマ・プロデュース、爽やかフュージョン絶頂期にあったジョージ・ベンソンの爽やかヴァージョンです。例によってこの時期はフィル・アップチャーチ、ロニー・フォスター、ラルフ・マクドナルド他豪勢極まりないメンバーに囲まれての録音ですが、なんといってもクラウス・オガーマンの指揮によるストリングスが美しいですよねえ。


Swing Out Sister / Am I The Same Girl (1992)

 既にご承知のように、「SOULFUL STRUT」はオリジナル発表より先にバーバラ・アクリンによるヴォーカル・ヴァージョンが残されており、「AM I THE AME GIRL」のタイトルが付けられていました。そちらは(キース・マンスフィールド・オーケストラをバックにした)サリナ・ジョーンズ版や、ダスティー・スプリングフィールド版等も有名ですが、なんといっても92年に世界中で大ヒットしたスウィング・アウト・シスター版を忘れるわけにはいきません。え、もう20年も前?(´・ω・`)


*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。





 現実世界のロボット技術において、日本が世界の何十歩も先を歩いていることは周知の事実です。当方を含めていま「オッサン」と呼ばれる世代の人々であれば、もはや数十年にわたって「ロボット」という言葉に夢をみてしまうのは、世代の性、ともいえるかも。さて今回は、そんなオッサン達の心を打ちまくる、ニッポンの人型ロボットをご紹介。(2013年5月3日更新分/選・文=大久)


HONDA ASIMO - TVCM (2008)

ホンダが極秘事業として開発を続けるASIMOは、世界初の本格的2足歩行ロボットとして2000年に初代機が発表。当時「早稲田大学のロボット研究室」こそが世界の最先端だ、という説が学会では常識だったそうですが、ASIMOが発表された際に、当時の何倍も先のテクノロジーを現実化したこのロボットに世界中の研究者が仰天したそうです。3度のリニューアルを経て、最新型は2011年版となりますが、動画は2005年発表型の第3世代ASIMOを使用した、08年のホンダのTVCF。

ASIMO live on NBC Today Show

もちろんASIMOは研究者だけでなく、全ての人々を驚愕させたことは間違いありません。動画は2002年2月14日、NY証券取引所の開場ベルを(人間以外で初めて)鳴らしたASIMOの様子を伝えるNBCニュース映像。ホンダが同所での上場25周年を記念しての起用でした。ちなみにホンダ社は「人間が人型ロボットなるものを開発する是非」に関して、ローマ教皇庁にその倫理性を確認した、という話も残されています。

PANASONIC EVOLTA TVCM (2008)

パナソニックの乾電池「エヴォルタ」のTVCM。ですが、この全長17cmの小さなロボットを見て何度も涙してしまうのは、当方だけではないと思われます。このロボットのデザイナーさんは米学術誌にて「未来を変える33人」のひとりにも選ばれた高橋智隆氏(先日TV「マツコの知らない世界」に出演し、少しだけ開発秘話を披露していましたが)。画面にあるように、撮影中実際に嵐やヒョウが降るという悪天候にも耐え、6度目のチャレンジで偉業を達成したとのこと。


ニトリ モデルランドセル「わんぱく組」(2013)

「お、値段以上 ニトリ」というフレーズでお馴染みのニトリ。今年の春のキャンペーンCMは、ホンダのASIMOをちょっとだけ彷彿とさせる白いロボット7体がランドセルを背負ってラインダンスする、という可愛らしいCMでしたが、既にお気付きの通り、歌を歌っているのは初音ミク。放送直後から話題になり、ニトリの広報室には確認の電話が殺到したそうですが、ニトリは公式には「(初音ミクかどうかは)ご想像にお任せします」という答えしか出していません。


FOSTER'S TVCM

おまけ動画その1。世界的に有名なフォスターズというビール会社がイギリスで放映した、おそらくホンダASIMOの登場に喚起されて制作されたと思わしきTVCM。イギリスならこのプロットで十分に笑えるのかもしれません。ですが我々日本人は、既に江口寿史が短編漫画「KV201-XR」(90年/『爆発ディナーショー』所収)で描いたような世界を知ってしまっています。その意味でも、日本人が人型ロボットに求める理想は遥かに高次元だ、と言わざるを得ません。


HRP-4C (2009)

おまけ動画その2。もちろん人形ロボット技術はホンダ以外の組織でも懸命に研究が進んでいます。こちらは経済産業省傘下のHRP(Humanoid Robot Project)が先導して開発が進められる2足歩行ロボットの最新作「HRP-4C」。身長158cm、体重43kg。ヤマハのVOCALOID「初音ミク」の声を使ってELTのヒット曲を歌い踊る、というデモ・パフォーマンスです。が、僭越ですけど、この開発、もうやめたほうがいいですよね(笑)。後ろのダンサーさん達の冷めきった表情がそのすべてを伝えていますが。

*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。