てりとりぃ放送局アーカイヴ(2013年6月14日〜2013年6月21日)

 「こんなん出ましたけど」と添えて、こんな写真が濱田編集長からメールされてきた事がありました。その日東京はドロドロに曇ってたのですが、編集長のご自宅付近では雨も上がり豪快な虹が出てたとのこと。最近その時の写真を久々に発見した、なんていう契機でしかありませんが、今回は「虹」特集です。リッチーも高中もラルクも出てきませんが(笑)、ちょっと虹を思い浮かべて何曲か「ぼんやりと、ただ意味なく」選んでみました。(2013年6月14日更新分/選・文=大久)


Somewhere Over the Rainbow on The Wizard of Oz (1939)

 やっぱり最初は「虹」関連で最も有名なこの曲にしておきます。39年って、昭和14年なんですよね。なのにこの動画の綺麗さ/鮮明さといったら、一体どういうことなんでしょうか。「虹の彼方に」はもちろん39年の「オズの魔法使い」で有名になった曲ですが、ジュディー・ガーランド(当時17歳)のこのシーンは「映画に相応しくない」という理由でカットされる寸前だった、という逸話も残っています。「虹の彼方に」は全米レコード協会が選んだ「20世紀の名曲」第1位になっています。

Rainbow Orchestra / Seven Days Later (1974)

 動画はファンメイドのものなので曲とは関係ありませんが、それにしても70年代NYの摩天楼という風景に、エレピ&ストリングスの音色はドンズバでハマりますよね。こちらの曲はレア・グルーヴ界隈でちょっとだけ知られる、ドイツのレインボウ・オーケストラ。74年チューリッヒで録音されたイージーリスニング系の一枚で、プロデューサーはKPMなんかでも作品を残したヴェルナー・タウツ。

Rainbow Brown / Till You Surrender (1981)

 レインボウ・ブラウンは、敏腕プロデューサーのパトリック・アダムスが手がけたファンク・ユニットで、NYアンダーグラウンド・ディスコの至宝とも言えるようなアルバムを81年に発売しています。こちらの曲はそのレインボウ・ブラウンによるファンキーベースが冴え渡るダンス・クラシック。パトリック・アダムスは(ヴィンス・モンタナJRが抜けた後の)後期サルソウル・オーケストラでも活躍したクリエイター。

Nena / She's A Rainbow (2007)

 実はこの曲をどうしても載せたくて「虹」特集にした、という理由だったり(笑)。「ロックバルーンは99」(83年)で有名なネーナですが、ドイツではずーっと大スターであることは、日本にはなかなか伝わってきません。2003年にはチャート1位も記録し、しかも今でも変わらぬ美貌(昔より綺麗かも。笑)です。そんなネーナは07年に『COVER ME』という2枚組カヴァー・アルバムを発売していますが、こちらはその中からストーンズの名曲カヴァー。同作にはボウイ作品も2曲収録。

Lama / Seven Swell -based on 'Niji'- (2012)

 「虹」といえばエウレカセヴン&電グル、という人も結構多いのではないでしょうか。既にジャパニーズ・テクノ曲の中でも世界的な人気と知名度を持つ曲になったので、リミックス・ヴァージョンが今もなお続々と制作され続ける、ということになってます。こちらはアニメ「エウレカセヴン」の続編として2012年に制作/放映された「エウレカセブンAO」の最終話で挿入された、電グル「虹」のリビルド・トラック。個人的には「あ、そうきたか」というよりも「あ!やっちまったな」という思いのほうが正直強かったんですが。

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 「サン・ホセ(サンノゼ)への道」。もちろんバート・バカラックの代表曲としてブッチギリの認知度を持つ曲ですよね。オリジナル・シンガーであるディオンヌ・ワーウィックの歌、それに加えてシンプルながらお洒落なボサ・アレンジも魅力です。あまりに魅力的すぎるので、カヴァーする際に「オリジナル通りの」アレンジを踏襲してしまう例が多いわけですが、今回はこの曲のカヴァー聴き比べです。(2013年6月21日/選・文=大久)


Richard 'Groove' Holmes / Do You Know The Way To San Jose (1969)

 69年のファンキー・オルガン・ジャズの名盤『WORKING ON A GROOVY THINGS』より。イージーリスニングの世界ではそれこそ定番的にカヴァー曲が量産されていますが、ジャズ、それもファンキーにカヴァーされる機会はあまりない、というのも興味深いですよね。名盤なのに、CD化されたんが日本だけ、というのも、また別の意味で興味深いことではありますが。

Frankie Goes To Hollywood / San Jose (The Way) (1984)

「RELAX」「TWO TRIBES」等のイケイケで好戦的なボディー・ビートで世間を賑わせていたFGTHのデビュー・アルバムには、なんと「サン・ホセ」のカヴァーが収録されていました。しかもオサレなボサ・アレンジで。なんじゃコリャ、とすごく驚いたことを、今でもよく覚えています。余談になりますが、アルバムでは「明日なき暴走」のカヴァーに続いてこの曲が出てくるのですが、今でも考えるだけで「まったく何考えてんだコイツラは」と楽しくなりますね。トレヴァー・ホーン最高です。

Jim O'Rourke feat. Kahimi Karie / Do You Know the Way to San Jose (2010)

 ジム・オルークが制作したバカラック・トリビュート盤『LOVE BURT BACHARACH』に収録されたカヴァー。ヴォーカルは以前にも共演の経験があるカヒミちゃんが担当。ソニック・ユース出身でシカゴのポストロック界の有名人なのに、こんなにキラキラしたジャズぽいアレンジになってるのが面白いですね。とはいえ、ちょいドープな空気がビンビン感じられるのはさすがですが。


Rumer / Do You Know The Way to San Jose (2011)

「巨匠バート・バカラックも大絶賛!苦節10年、最も過小評価されてきた遅咲きの31歳」というキャッチコピーでデビューしたルーマー嬢。イギリスでのブレイクを期に日本でも話題となっていますが、12年5月にカヴァー曲ばかりを収録したセカンド『BOYS DON'T CRY』を発表したばかり。こちらは彼女が11年1月にオランダで行なったライヴでの「サン・ホセ」カヴァー。ゴージャスなオーケストラは、地元オランダでジャズ/ポップ系のオケ・アレンジで大活躍のメトロポール・オーケストラ。


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 忘れた頃にやってくる、初期ヒップホップ特集、第2弾。今回はヒップホップというジャンル、とくに音楽ジャンルにおいてその圧倒的な影響力を誇り、それまでの音楽ジャンルを壊しに壊しまくった偉大なクリエイター、アーサー・ベイカーの特集です。よくも悪くもワン・パターン、でも彼がいなければ、初期ヒップホップのみならず、H&Oもシンディ−・ローパーも今とは違った道を歩んでいたかも。そんなアーサー・ベイカーの代表的お仕事をご紹介(2013年6月21日更新分/選・文=大久)


Planet Patrol / Play At Your Own Risk (1982)

 アーサー・ベイカー率いるプラネット・パトロールの82年発表曲。既にお気付きの通り、アフリカ・バンバータ「PLANET ROCK」とマンマおなじオケに聴こえます。実は、元々バンバータ用に用意されたオケでしたが、後に本物のクラフトワークから2曲(「ヨーロッパ超特急」と「ナンバーズ」)のサンプル使用許可を貰えたために、こちらの「新録音」オケがボツとなり、自身のグループで使用した、というイワクつきのオケでした。

Afrika Bambaataa / Looking for the Perfect Beat (1983)

 前作「PLANET ROCK」で世界中に大きな花火を打ち上げたアーサー・ベイカー&アフリカ・バンバータのチームが放った第2弾。彼らはいくつかPVを制作していますが、その強烈なルックスに毎回驚かされます。ヴィレッジ・ピープルのようなグループとは違って、彼らはこれを本気でやっている、という点も素晴らしいですね。後にボム・ザ・ベース、LLクールJ等もこの曲を引用しています。

Freeez / I.O.U. (1983)

 元々イギリス出身の4人組ファンク・グループであったフリーズですが、今はもちろんこのエレクトロ・ヒップホップの大ヒット曲で世界中に知られていると思います(初期はシャカタクやメゾフォルテのようなフュージョン・ファンク・サウンドでした)。この年、イギリスで最も売れたシングルとなったこの「I.O.U.」は、作者であるアーサー・ベイカー自身も後にセルフ・リメイクしています。

New Order / Confusion (1983)

 「ブルー・マンデー」とアルバム『権力の美学』(共に83年)でブリティッシュ・ニュー・ウェイヴに大きなエレクトロ・ウェイヴを巻き起こしたニュー・オーダー。続いて発表されたこの曲は、アーサー・ベイカーのプロデュースでした。動画の中で、ちょっとオデブで長髪&ヒゲという、ヘルスエンジェルスかよ、といったカンジのワイルドなオニイサンが出てきますが、彼がアーサー・ベイカーです。このPVも「ニュー・オーダーがNYに行ってヒップホップに出会う」というストーリーになってますね。

Arthur Baker / Breaker's Revenge (1984)

 「ギッタギタにブッタ切る強烈なリミックス手法」で一躍有名になったアーサー・ベイカーの、自身の名義による84年のクラシック。他の曲に比べると一般的な認知は低いかもしれませんが、ヒップホップ・ダンサーズ/ブレイカー達のアンセムとして今も圧倒的な人気を誇る曲です。また、この曲の路線をより大胆に進化させたのが、同年発表されたホール&オーツの大ヒット作『BIG BAM BOOM』だ、と気付いた方も多いのではないでしょうか。


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