てりとりぃ放送局アーカイヴ(2013年6月28日〜2013年7月5日)

 「グローバリズム」というものの、その真実の一端をご紹介しようと思います。別にここで政治がドーコーとか書くつもりは一切ありません。ただし、昨今のメディアでもの凄くお気楽に使用される傾向にある「グローバリズム」という言葉、その殆どの場合(たとえ政治家の発言であっても)かなりテキトーに、その内容の吟味をせずに使われる機会が多過ぎることには、個人的に危機感を持っています。そんなこともあって、ほんの少しでも「事実」を検証したいなあ、と。(2013年6月28日更新分/選・文=大久)


Пудра(Pudra) / Blue Bird

なんかワケわかんない冒頭の序文を書いてしまいましたが、要はロシアのガール・グループを紹介したいだけなんですけどね。PUDRA、英語でPOWDERという意味のバンド名をもつ4人組のグループです。なんと日本のアニメ「NARUTO」の主題歌(オリジナルはいきものがかり)を、真正面から日本語カバーしてます。いきものがかりの皆さんには申し訳ないですが、オレはこっちの方が好きだなあ(笑)。

Pudra / Makka na Taiyo

たしかにロシアは、日本のアニメの人気が凄く高い地域のひとつです。しかし彼女達はこんな恐ろしい選曲でも日本歌謡曲をカヴァーしてしまいます。アニメもクソもあったもんじゃないスね。日本にトーキングモジュレーターを使ってここまで大胆な解釈のできるグループがあったでしょうか? ちなみにPUDRAの4人は、メンバーが現在13〜17歳、という年齢構成でもあります。

Pudra / Kawa no Nagare no Yoni

美空ひばりカヴァーをもう一曲。モスクワに在住する4人組ですが、彼女達には日本に住む「日本語の先生」的なスタッフの女性がいて(彼女は既に日本滞在歴10年になるそうです)、言葉の指導のみならず、グループのために日本語ツイッターを開設したりしています。ちなみにPUDRAは現時点ではまだ一介のアマチュアであり、レーベルとの契約をしていません。これもまた時代、ですね。

Pudra / Fashion Monster

全員がリードVOとして歌える、というバンドとしての強力な武器もそうですが、全員が日本語で歌える、という点はさすがに驚かざるをえません。アニメ放送を見る事と、スカイプを通じた日本語教育だけでここまでやれてしまう、という点も、彼女達の「本気度」を垣間みる思いです。さて、日本のガールバンドで、そこまで本気を見せる事のできるバンドは、今いるのでしょうか?

Pudra / Band Promotion Trailer

と、上記では日本語カバーばかりに関して書いてみましたが、実は彼女達は欧米のポップスも、ロシアのポップスもレパートリーにしています。この動画はそれらをメドレー編集したものですが、いいですね、10代のバンドらしい、スカスカなアレンジと勢い、そんなところも世界共通なんだな、と発見できる動画です。当然ですよね。既にビリー・ジョエルがソ連(当時)コンサートを行なってから、26年が経過してるわけですし。




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 今回の「放送局」はホンノリとお色気モノ。とはいえ、エロエロな世界ではなくて、ちょっと脱力感を感じてしまうような踊り子さん達をご紹介。英国の有名なTV音楽番組「TOP OF THE POPS」は、64年の放送開始から42年もの歴史と伝統を誇る人気番組でしたが、番組の中では、アーティスト達によるパフォーマンス以外に、女性ダンサー達のグループが曲に併せてただ踊る、という名物コーナーがありました。今回はその「TOTP」に登場した歴代の女性ダンス・グループ達です。(2013年6月28日更新分/選・文=大久)


The Gojos dance to "Reflections" by Diana Ross and the Supremes (1967)

BBC「TOTP」の初代ダンス・チームが、このGO-JOSでした。当時はもちろんプロモ・ビデオなんていうものもなく、アーティストの出演が叶わない場合、彼女達ダンサーズが曲に併せてパフォームする姿を放送することで曲を紹介する、という役目を担っていました。冒頭で「お色気モノ」とか書きましたが、はい、英国の国営放送では、やはりこんなモンです。まだゴーゴーの時代を抜けきれていない、というカンジですよね。

Pan's People dance to "Do the Hustle" by Van McCoy (1975)

2代目ダンス・チーム、パンズ・ピープルは、同番組の女性ダンス・チームで最も人気・知名度のあるグループだったようです。結成は66年でしたが、番組に初出演したのは68年から。彼女達の成功によって、同番組は「本人が出演しなくても曲紹介できる」「新しい人気コーナーができた」という、2つのメリットを享受することになりました。

Ruby Flipper dance to "Love Hangover" by Diana Ross (1976)

76年、新しいダンス・グループが登場しました。それまでの「女性のみ」という縛りから逃れて、男女混成のチーム、ルビー・フリッパーです。当時の番組ディレクターの証言「パンズ・ピープルは8年もあれをやっていた。そろそろ飽きてきたことだろう」。正論ですが、ちょっとヒドイなぁ(笑)。とはいえ、新グループのうち2名は、前述のパンズ・ピープル出身者ですが。

Legs & Co dance to "Dance Dance Dance" by Chic (1977)

ところが76年末には、はやくもニュー・チームが登場しています。性別だけではなく、今度は「人種も様々」なチームが組まれました。レッグス&カンパニーは76年から81年まで同番組で踊りを披露しましたが、「本人が番組に生出演できない曲」で「70年代後半という時期」という背景を反映して、多くのディスコ・ヒット曲をバックにダンスする機会が多かったようです。時代の流れ、ですね。

Zoo dance to "Inside Out" by Odyssey (1981)

もちろん「CHOO CHOO TRAIN」のあのグループとは一切関係がありません。81年に登場したダンス・チームZOOは、同番組最後のダンス・アクトとなりました。ZOOは83年まで同番組に出演しましたが、これはもちろん、プロモーション・クリップという新しい宣伝ツールの普及によって、番組にダンス・コーナーを設ける必要がなくなってしまったからです。




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 ちょっと思う所もありまして、この「放送局」で日本の音楽はあまり扱わないことにしてるのですが、アーティスト本人がYOUTUBEに「公式チャンネル」を持っているとなれば話は別です。というワケで、今回は日本が誇るハイパーテクノ・クリエイター(笑)、電気グルーヴの特集です。その音楽がテクノかどうか、なんてのはこの場合関係ありません。あまりにも清々しいその映像美をご堪能いただければ幸いです。(2013年7月5日更新分/選・文=大久)


電気グルーヴ/少年ヤング(2007)

 今から30年くらい前、日本はこんなカンジでした。そういう考古学的見地は別にしても、フリーペーパー「月刊てりとりぃ」にて、もしくはディスクガイド本『日本の女性アイドル』にてシツコクこのPVのことを言及したのは当方の仕業ですが、それもこれも、このPVを一人でも多くの方にご覧頂きたかったからに他なりません。元ネタをいくつ指摘できるか、なんていうクイズにも使えそうな映像ではあります。「アンドロメダの異星人」(青樹亜依/82年)は近年復刻されて有名になったネタですね。

電気グルーヴ/Upside Down(2009)

 ノイタミナ枠のアニメ「空中ブランコ」主題歌。実はこのPVも、描かれた映像の主旨は前述の「少年ヤング」と全く同じモノです。ただし「少年」がドンズバで80年代のアイドル像を描いているのと、こちらが21世紀のアイドル・カルチャーを描いている、という時間軸に違いがありますが。ああ、最近の女性アイドルっていうのは大変なんだなあ、なんてことをこのPVを見て感じてしまう当方も、かなりビョーキです(笑)。

電気グルーヴ/電気グルーヴ20周年のうた(2009)

 さて、ここまでくると既にオフザケの域を遥か越えて、アートの域まで達したと言っても過言ではない芸風ではありますが。自ら20周年をお祝いしてこんなオイタなPVも作ってしまいました。まあ、この人達は20年前はこんなことをやってた人達なんですけど。藤子A的、もしくは80年代にギャグ化されることになってしまった「ねじ式」的世界を引用した、ダークなPV。それにしてもこの本屋、個人的に見覚えがあります。高円寺だったかなあ? ちょっと曖昧ですが。

電気グルーヴ/Fake it!(2008)

 世の中なかなか面白いもので、ハタから見て誰もがオバカだなと思うことでも、とことん突き詰めると、文化庁なんていうお上から表彰されたりします。本作PVは映像作家の田中秀幸氏が制作したものですが、このPVで2009年文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞しています。

Takkyu Ishino/Stereo Nights(2001)

 最後はオマケ。80Sメランコリック・テクノ歌謡路線の逸品とも言えそうな卓球氏の01年のソロ曲ですが、PVでは「当時の記憶を、補正を入れずにありのまま再現する」という意図がビッシビシと伝わります。ジャギった文字は、今から20年くらい前まではそこら中に溢れていましたよね。また「歌う天気予報」が当時から(今も)こんだけマヌケな番組なんだ、ということを再確認させてくれます。PVの映像監督はピエール瀧氏。

*動画のリンク切れの場合はご容赦ください。