てりとりぃ放送局アーカイヴ(2014年5月2日〜5月16日分)

  5月。晴れた日には屋上に登って青空に向かってプカーと白い煙を吹きかけたい、そんな季節。今世間の愛煙家の皆様は、屋上ではなく自室のベランダで夜な夜なタバコを吸うようですね。そんな「トランジスタラジオ」的感慨とは関係ありませんが、今回の特集は「屋上」です。屋上セッションというのは例のアレを含めてそれなりに面白い動画が結構あるので、集めてみました。(2014年5月2日更新分/選・文=大久)



Jefferson Airplane / House at Pooneil Corners (1968)

 世間的に世界で最初のゲリラ・ライヴ、といわれているのが68年12月7日、NYマンハッタンにあるビルの屋上でのジェファーソン・エアプレーンのこの演奏です。こちらはジャン・リュック・ゴダールが映画「ONE AMERICAN MOVIE」のために撮影したものでしたが(ゴダール本人が冒頭に映ってますね)当時は結局オクラ入りに。それにしても当時のグレイス・スリック、めちゃ美人ですねえ。

The Beatles / Don't Let Me Down (1969)

 69年1月30日ロンドンのアップル本社屋上で行なわれた、世界で一番有名な屋上セッションからの1曲。この日はリハを含めて47分間曲を演奏したところで警察から中止を命令されています。この時この「DON'T LET ME DOWN」は2度演奏されましたが、映画やレコード、アンソロジー盤等で聞けるミックスはスタジオ録音テイクを混ぜたものなので、完全なライヴ演奏ではありません。それにしても当時の「女性もののコート」はイカしてますね。

U2 / Where The Streets Have No Name (1987)

 ビートルズの次に有名、だと思われるルーフトップ・セッション。LAのダウンタウン(ヒスパニック系の聴衆が多いことでもおわかりかと思いますが)にある酒屋さんのビル屋上で撮影されました。映像にもあるように、警察にも許可を得て行なわれましたが、聴衆が続々と集まってしまったために続行不可となりこういう映像になりました。それにしてもさすがLAです。撮影は87年3月27日ですが、この日が熱いのか寒いのか、映像からはまったく見当がつきません(笑)。

Jacob Moon / Subdivisions (2008)

 ジェイコブ・ムーンさんというソロ・ギタリストによるひとり屋上セッション。曲はラッシュの「SUBDIVISIONS」のカヴァーですが、(オリジナルのラッシュが)3人だけであれを演奏するっていうだけでも驚異的なのに、この人は1人でそれをやらかしております。ジェイコブ・ムーン氏はセミプロの人ですが、海外のギター雑誌等で数々の人気投票1位を獲得したり賞を受賞してるアコースティックのテクニシャン。


Red Hot Chili Peppers / The Adventures Of Rain Dance Maggie (2011)

 最後はレッチリ。ジョン・フルシャンテがいなくなっちゃって大丈夫かしらん?と世界中が心配していた丁度その頃に発表されたシングル曲のPVです。個人的にはフルシャンテの代わりにベックかヴィンセント・ギャロでも入れてくれたほうが面白かったのですが、まあ無理か。映像は2011年7月30日、カリフォルニアのベニスビーチにあるビルの屋上で撮影されたものですが、翌8月17日には既にオンエアされています。仕事はええ。



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 ワールドカップ・イヤーですね。そんな理由だけですが、サッカー動画を特集したいと思います。そりゃあ世界で一番歴史も伝統も人気もあるスポーツですから、そのコンテンツは多種多様、言語に至ってはほぼ世界中を網羅するほどの動画がYOUTUBEにはあります。そんな中でも今回は、今から20年くらい前、日本のサッカーが世界に挑戦を始めた時期のものをあつめてあります。(2014年5月9日更新分/選・文=大久)


94年12月4日セリエA「ジェノア vs サンプドリア」

 まずはこちら。当時27歳だったキングカズこと三浦和良がイタリア・セリエAに挑んだ時の映像。デビュー戦でいきなり鼻を骨折して1ヶ月休む、というさい先悪いスタートで、「ジャパンマネー目的」と散々内外から揶揄され続けたセリエA在籍でしたが、この日カズは初ゴールを記録。彼がセリエAで記録した得点はこの1点のみですが、それでも一体だれが彼を批判できるのでしょうか。

95年1月29日セリエA「ジェノア vs ACミラン」

 年をまたいで翌月。ホームのジェノヴァで行なわれたこの試合は、とんでもない試合となりました。実は当方はこの試合をジェノヴァで実際に「体験」しています。とんでもないスケールのスタジアムにも驚きましたが、4万人超の観客が最初から「異様な盛り上がり」だったことを今も覚えています。ピッチを全力で走り抜けるカズの印象は、それほど深く残りませんでした。実は試合直前、サポーター同士が喧嘩をはじめ、ミランサポーター1人が刺殺されていました。会場の4万人はその為に試合開始後すぐに殺気立ち、発煙筒がガンガンたかれピッチに物がガンガン投げ込まれました。

95年1月29日セリエA「ジェノア vs ACミラン」

 試合は前半で中止となりましたが、その後会場周囲で暴動が発生し、警察を交えた3つどもえの乱闘が起こりました。馬に乗った機動隊の迫力にも驚きましたが、この時催涙弾の煙を吸い込んだ筆者はジェノヴァを後にしてから丸1日熱が出て寝込んでしまい、実は会場を後にして以降のことをあまり覚えていません(笑)。この件を重く見たイタリア政府は、以降1週間にわたってすべてのスポーツイベント開催中止を決定しています。

Rene Higuita - The Scorpion (1995)

 ところかわってイギリス。コロンビア代表と親善試合をしたイングランド代表。ループシュートなんていうスカした攻撃をみせた英代表に対して、コロンビア代表の人気GKレネ・イギータは歴史に残るクリア方法を披露し世界中を驚かせました。なんの意味があるのか、意味なんてないに決まってます。そんなことをやってしまうイギータが世界中から愛されるのは必然ですね。ちなみにイギータは試合前このクリア方法を予め練習していたのだそうです(そう教えてくれたのはこの試合を現場で観戦していたリチャード・バルビエリでした)。

Swing Out Sistor / Forever Blue (2012)

 おまけ動画。12年にリーグ制覇を果たしたイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティー。リーグ屈指の強豪FCでありながらなんと44年ぶりとなるリーグ制覇でした。この事に涙したプレミア・ファンは多かったらしく、その1人がスウィング・アウト・シスターのアンディー・コーネル。思わずこんな動画を自らの手でアップしています。曲は89年のSOSの大ヒット曲の再録音インスト・バージョン。もちろん「青」はマンCのチームカラーです。お洒落ですね。



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 ヘンテコなギター特集、第2弾。今回は「光るギター」です。電気工学的に50年以上前の技術で成り立っているエレキギターという楽器にとって、実は「電飾」させることが非常に難しい(電飾のための電流はその構造上すべてノイズ化して出力されてしまう)んですが、それでも「ギターを光らせる」という壮大な夢に挑むチャレンジャーは、現在も数多くいます。ええ、ギターマニアというのはなんてバカな人種なのでしょうか。当方もそんなバカの1人です。(2014年5月16日更新分/選・文=大久)

Mr.Children / 光の射す方へ(1999)

 世界で初めて「光るギター」として商品化されたのは、米リッケンバッカー社の331 LIGHT SHOWというギターでした。発売されたのは1969年。しかもこのギターは「音に反応してライトが点滅する」という構造になっており、見た目のインパクトは現在でも絶大です。古くはチューリップの財津氏が、そして近年でもミスチルのPVで使用されたのでご存知の方も多いでしょう。

KISS / I Was Made For Loving You (1978)

 1978年、とんでもなく光るギターが登場しました。ロック史上に燦然と輝くこの曲のPVでエース・フレーリーが使用していたギターは、まるでパチンコ屋の看板のごとくこれでもかと光り輝いています。もちろん市販品ではなく、また実際に楽器として使用に耐えうる(=音を出せる)ものではなかったようですが、楽曲の魅力もあいまって、現時点でもこのフラッシュ・ギターこそが世界最高峰の「光るギター」だと言わざるをえません。

沢田研二 / 恋のバッド・チューニング(1980)

 ニューウェイヴ期に入った沢田研二、そのコスチュームは毎回お茶の間を楽しませてくれましたが、80年の「恋のバッド・チューニング」では、当時まったく馴染みのなかったカラーコンタクトに加えて「光るギター」がコスチュームの一部として採用されています。ネオン管を内蔵したこのギターは実際に演奏できるものではなく、完全な小道具でしたが。

Marchosias Vamp / Endless Charm(1989)

 日本が誇る「電気の武者」マルコシアス・ヴァンプのアキマツネオ氏は、ロック・ギターのみならず電気工学にも明るい方です。氏が長年愛用するステンドグラスギターはもちろん自作品ですが、ギターの中にストロボフラッシュを内蔵し、スイッチをいれるとビカビカッと光る、という構造になっています。余談ですがストロボ内蔵ギターというアイデアは椎名林檎嬢も取り入れてましたね。

Keith Urban's Guitar Solo

 ニュージーランド出身ですが、現在米国で最も人気のある男性カントリー・シンガー、キース・アーバン。彼のこの動画に、当方は驚愕しました。エース・フレーリーのフラッシュギター同様に光っていて、さらに実用に耐えうるノイズ処理を施したギターを初めて見たからです。んー、完璧です。また最近とある米国の電子パーツ屋ご夫婦が自作してみた、というエース・フレーリーのフラッシュ・ギター・コピー品の動画にも衝撃を受けてしまい、「光るダンエレ」に続く新たなる発光ギター制作を決意しました。

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