2014年12月5日(金)

 
ヒトコト劇場 #53
[桜井順×古川タク]








居酒屋散歩《浅草・一文》


 浅草は子供の頃から通った街で、社会人になってからも時々行く。今回の「一文」へ最初に行ったのは30年近く前。この街は夜が早く、商店の扉がすぐ閉まってしまう。友人を連れて、雷門から仲見世を歩くと6時半頃だと開いている店を探すのに苦労するほどで、皆びっくりする。その分、新宿や渋谷などほかの盛り場と比べのんびり歩くことが出き、酒場を求めてフラフラするのが心地良い。ただ、ここ数年は外国人も含

め人の数が増えてにぎやかになってきた。街の活性化としてはこの方が良いのかもしれないが・・・。
 ただ浅草は通勤ルートからは離れているので、頻繁に来ることはない。年に10回もゆけば多い方だ。行ったときは必ず「一文」に立ち寄る。店に入るとすぐ土間がある。古民家を改築した店で落ち着いたたたずまい。いかにもお酒がおいしいそうな雰囲気が醸し出されている。が、酒だけではなくすべての食材にこだわ

っているので、出てくるものどれも味わい深い。
 今日はイラストレイターのT氏と2名で店に入った。6時を少し回った頃だったが口開けでほかに客がいなかった。小上がりに通されて、遅れてくる生協に勤めているY氏を待ちながら、ビールをゆっくり飲み始めた。2杯目にかかろうとする頃ようやく到着した。改めて3人で乾杯をしてお通しや刺身をいただいた。ある程度良い気持ちになったころ日本酒の利き酒セットを頼んだ。リーズナブルな価格でおいしい酒が3種類飲めるので、お得なセット。タラバガニやホタテを入れたシュウマイや、合鴨のつくね(半熟卵に付けて食べる)などで日本酒を流し込む。その後焼酎に切り替えて、この店の名物・ねぎま鍋に移った。グラスに氷と焼酎をドバっと入れてチビ

チビやりながら、銅鍋に千住ねぎやシイタケ、その他の野菜を入れて温まるのを待つ。ある程度温度が上がった所へ、マグロのトロ肉を入れる。ちょっとひたしてから柚子胡椒をつけていただく。口の中でとろけるマグロを堪能していると、焼酎のピッチが俄然上がってくる。トロの脂身が気になるようであれば、鍋に浸す時間を調節して味わえば良い。体と心がたっぷり温まった所で、〆のうどんをいただく。満たされた気分

だったがさらにデザートまで欲張ってしまった。T氏もY氏も初めての来訪だったが、満足したみたいで、お店のチラシをしっかりカバンに入れて店を出た。
 店の場所は、言問い通りと国際通りの交わった交差点から歩いて2~3分ほどの所。雷門の方から来るときは、仲見世を通り、浅草寺でお参りをしてから、浅草寺の裏側の方に歩いてくる。
 国際通りというのは、昔、ここに国際劇場という松竹

直営の大きな小屋のあった所から来ている。私が小学生の頃は毎年、正月に橋幸夫ショウを見に行ったものだ。戦前から昭和30年代ころまで東京の盛り場の中心だった浅草のランドマークで、今は浅草ビューホテルが立てられている。余談だが、このホテルの窓側の部屋は、隅田川の花火の夜は1年も前から埋まるという。
 「一文」のあるあたりは人通りも少ないが、ところどころに飲み屋の看板が明かりを灯している。遅くまでやっている店も多く、ゆっくり梯子をするにはもってこいのスポットだと思う。実は、この店から徒歩5分くらいの所に「一文・別館」があり、ここはコース料理専門で、また違った趣が味わえる。12月には忘年会が何度かあるが、この別館にも来ざるを得ないだろう。
(川村寛=編集者)



演奏者推測のススメ 6


 前回に続いて、2004年に東芝EMIやコロムビアミュージックエンタテインメントなどレコード会社5社から計6枚リリースされたコンピ「Love Sounds Style」シリーズをテキストに演奏者を推測していきます。 前回は東芝EMI編を中心に推測したので、今回はコロムビアミュージックエン

タテインメント編から。本盤では、村岡実/山屋清とオール・スターズやスリー・エス・フィルム・サウンズなどでは、山屋清(S)が編曲を担当しています。整然としていて匿名性の高い演奏ですが、当時山屋氏は原信夫とシャープス&フラッツや、渡辺明(S)からバンマスを引き継いだ東京ユニオンにかかわってい

たので、彼らのメンバーから選抜されたメンバーが演奏している可能性もあります。ちなみに、収録音源が録音された65年から68年のシャープス&フラッツは、菊地雅章の弟の菊地雅洋(Pf)、小川俊彦(Pf)、矢島賢)の師でもある野口武義(Gt)、竹内弘(Bs)、中村吉夫(Dr)らが在籍していました。ジェイク・コンセプションとジェット・セットでは、ピック弾きのベースが聴こえますが、本連載に頻繁に登場する江藤勲(Bs)でも寺川正興(Bs)でも無いトーン。スウィンギーな4ビートのグルーヴから、荒川康男(Bs)や稲葉国光(Bs)など、ジャズ界隈のプレイヤーがピックで弾いたと推測できそうです。
 ビクター編での筒美京平とそのグランド・ストリングスでは、江藤氏のベースが聴こえます。ただ、普段

とは違ってかなり匿名性の高く、個性を押し殺したようなプレイです。
 BMG編に収録されている、グランド・ファンタスティック・ストリングスでも江藤氏のプレイが聴こえますが、筒美京平とそのグランド・ストリングスより個性を出したトーンです。また、解説ではゲンチャーズのメンバー名が記載されており江藤氏と寺川氏の名前がありますが、収録音源の「ウインディ」は江藤氏のトーンです。
 ソニーミュージック編に収録されている筒美京平とサウンド・ナウ・オーケストラのベースはおそらく武部秀明でしょう。暖か味がありながらも力強い、70年代中盤以降の筒美氏を支えたトーンのベースです。
(ガモウユウイチ=音楽ライター/ベーシスト)



ESPACE BIBLIO×月刊てりとりぃ 共同企画
コメディアン「小松政夫」トークショー
クレージー映画&昭和の喜劇人を語る!


映画や舞台で活躍を続けてきた小松政夫が、クレージ・キャッツ、
そして昭和の喜劇人たちについて熱く語ります。
芸歴50年、日本喜劇人協会の会長を務める大ベテランだからこそ知る秘話満載。
アノ人の物まねも!?

12月6日(土)14:00~16:00(13:30開場)
[参加費]1, 500円(当日精算)
[予約制]メール(info@espacebiblio.superstudio.co.jp)または電話(Tel.03-6821-5703)にて受付。
●メール受付:件名「12/6 小松氏トーク希望」にてお名前・電話番号・参加人数をお知らせ下さい。追って返信メールで予約完了をお知らせいたします。
●電話受付:03-6821-5703(月→金11:30→21:00/土11:30→20:00)
[会場]ESPACE BIBLIO(エスパス・ビブリオ)地図はこちら


企画展『ジャック・ドゥミ映画/音楽の魅惑』

会場:東京国立近代美術館フィルムセンター展示室(企画展)
会期:2014年8月28日(木)〜12月14日(日)
詳細⇒http://www.momat.go.jp/FC/demy/index.html


てりとりぃ×宇野亜喜良
コラボレーショングッズ 第4弾


「てりとりぃ」オリジナルキューブ BOX入りマグカップ+ブックカバーに続き、2014年ふたつ目のオリジナルグッズを作成しました。若干数ではありますが、ご希望の方にお分けします。数に限りがありますのでご注文はお早めに!

「てりとりぃ」オリジナルノート[Red]&[Black](セット販売のみ) ■自然にやさしい再生紙を使用したペンホルダーつきノートに宇野亞喜良書き下ろしイラストレーションをプリント ■サイズ:130×180×14(mm) ■セット販売価格 1,800円(送料別)※ペンは付属しません。

ご購入を希望される方は、「てりとりぃ」編集部 territory.tvage@gmail.com まで「オリジナルグッズ購入希望」と件名に表記の上メールにてお知らせ下さい。到着後3日以内に折り返し返信メールを送ります。なお限定品につき品切の場合はご購入出来ない場合があります。*別途送料は発送方法によって異なります。詳しくはお問い合わせ下さい。