てりとりぃ放送局アーカイヴ(2015年1月9日〜2015年1月23日分)

 最近パカパカとデヴィッド・ボウイ・ネタを書いているのは、1月が彼の誕生月だから(註:47年1月8日生まれ/今年で68になりました)という理由です。いささかの苦しさを感じながらも(笑)まあ選者の得意ジャンルなのでお許し下さい。で、今回はボウイの「パロディー集」。世界的スターですから世界中でパロディーが生まれています。日本のアーティストの場合はなかなかこういうことにはなりませんよね。日本が世界から学ばなければならないことはまだまだ沢山あるようです。(2015年1月9日更新分/選・文=大久)


American Horror Story Freak Show Life on Mars – The Performance

 2011年以来いまアメリカで大人気のTVシリーズ「アメリカン・ホラー・ストーリー」。昨年そのシーズン4「フリーク・ショウ」が放送されましたが、その劇中ジェシカ・ラング(映画『キングコング』の美女役や『トッツィー』で知られる大女優)がなんとボウイの71年楽曲「LIFE ON MARS」を完コピで披露しています。とはいえ完コピしたのは衣装とメイクと歌ですが。それにしてもすげえ。クオリティー高し。
David Bowie - Cobbler Bob

 アダム・バクストンという名の芸人さんがいます。それほど超有名ではありませんが、ちゃんと人気があり芸で食べてる芸人さんです。彼の持ちネタのひとつば「ボウイの物まね」でして、その模様を作品化したのがこちら。音声はBBCのラジオ番組出演時のソースを引用していますが、映像はクリス・ソルトさんという動画作家が新たに制作したもの。内容はボウイが「ジギーの次のキャラ、何にしよっかな?」という相談を奥さん(アンジー・ボウイ)としてる場面。
Bowie, Eno and Visconti record "Warszawa"

 こちらもアダム・バクストンさんの物まね作品。本稿で詳細には触れませんが、実はこの喋っている内容と映像が爆笑もののジョークだらけになっているんですよね。そしてアダム・バクストンさん演じるボウイの声。これがもう本人そっくりなんです。知らない人が聞いたら絶対本人の発言だと勘違いしてしまうくらいです。動画の内容は77年発表曲「ワルシャワの幻想」の歌入れシーンですが、結局この曲は実際にはインスト曲になったことはご承知の通り(笑)。
Musicless Musicvideo / Dancing In The Street

 下らない。下らなすぎて大爆笑。何度も見返してしまう中毒性の高いアホ動画。プロモーションビデオから音声を全部消し、新たにアテレコで実況音を追加してみた、というシリーズを延々と作り続けるとんでもないヒマ人MARIO WIENERROIHERさんによる作品。もちろん元ネタは85年、ボウイ&ミック・ジャガーで録音されたチャリティー・シングル「DANCING IN THE STREET」。
Like a Record round! round! round!「ナウ・ロマンティック」

 最後は完全なオマケ。2014年9月、お笑い芸人・藤井隆氏が新レーベル発足と同時にシングルを発表。楽曲は95年今田耕司(KOJI1200名義)のカヴァーですが、椿鬼奴、レイザーラモンRGを加えた3人組ユニットとしてのリリースでした。ええ、曲に関しては別の機会にガッチリ書くとしますが、いやーやっこさん、やっちゃいましたね。ピーター・マーフィーやケイト・モス嬢でさえ恐れ多くて立ち入れなかった領域に入っちゃいましたね。ウフフ。


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 HR界きっての異端児、グラハム・ボネットの特集です。この30年間、彼に関する話題は「また酔っぱらってオイタしてしまった」みたいなものばかりで楽しませてくれますが、近年は年齢のこともあって随分まろやかな生活になった模様(とはいえ60歳目前に離婚しちゃうような方ですが。笑)。一環してオールバックを崩さない伊達男の歴史を簡単に振り返ってみました。(2015年1月16日更新分/選・文=大久)


Marbles / Only One Woman (1968)

 彼の初のヒット曲はマーブルズというデュオ名義で記録したもので、発表されたのは68年。デュオの相方トレヴァー・ゴードンはビージーズとも深い交流がある豪州出身のシンガーで、ビージーズが先に英国でスターになったのを機に渡英、ボネットさんと組んでこの曲をヒットさせました。同曲の作曲はもちろんビージーズの3人。
Graham Bonnet / Whisper in the Night (1972)

 マーブルズは2年もたずに解散してしまいますが、両名ともソロ・シンガーへ転身しています。でこちらがグラハム・ボネットがRCAに移籍して72年に発表したソロ・シングル。お気づきの方もいるかもしれませんが、この曲はELOが前年に発表した名作デビュー・アルバムのラストを飾るロイ・ウッドの名曲「WHISPER IN THE NIGHT」のカヴァー。

Graham Bonnet on "Billy Beethoven" (1974)

 残念ながらここまでソロとしてはそれほど大きな成功を収めていないボネットさん。試行錯誤の活動が続きましたが、こちらは74年に歌手役で出演した英コメディー映画「THREE FOR ALL」での歌唱シーン(この架空のバンドがビリー・ベートーベンという名前でした)。他の映画で俳優を目指したこともあったようですが、台詞が2言しかなかったりして、彼の性には合わなかった模様(笑)。

Graham Bonnet / It's all over now Baby Blue (1977)

 こちらは77年にソロ名義で発表したボブ・ディランの名曲カヴァー。英国ではヒットとはいえませんでしたがオーストラリアで5位を記録する大ヒットとなっています。ここまで紹介した4曲、いずれもグラハム・ボネットのパブリック・イメージとは思い切りかけ離れてて面白いですね(笑)。この後彼はリッチー・ブラックモア率いるレインボウに参加し、一躍HR界のスターとして君臨します。
Graham Bonnet / Night Games (1981)

 はい、どなたでもご存知のグラハム・ボネットのソロ代表曲。アルバム1枚であっさり脱退してしまったレインボウでしたが、こちらの曲には親友コージー・パウエル、ジョン・ロードも参加しています。全英6位のヒットとなったこの曲ですが、西城秀樹がこの曲に目をつけた(83年にカヴァー)というのは今思えばさすがというか凄いというか。ちなみに同曲を収録したアルバム『LINE-UP』にはロネッツ「BE MY BABY」のカヴァーも入ってて、ああやっぱりこういうポップなのが好きなのねん、と再認識できます。さて、実はグラハム・ボネットには「SINCE YOU BEEN GONE」というキャリアを代表する持ち歌があるのですが、そちらは別の機会にまとめて特集したいと思います。


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 ラス・バラード作「SINCE YOU BEEN GONE」の聴き比べ特集です。60年代にはアダム・フェイスのバックバンド、ルーレッツに参加したり、その後ユニット4+2というモッズ系バンドに参加したりしたラス・バラードですが、やはりミュージシャンとしてはロッド・アージェント率いるアージェントに参加したことで知られると思います。が、やっぱりラス・バラードといえば「作家」なんですよね。そんな彼の出世作とも言える「SINCE YOU BEEN GONE」をいろいろ集めてみました。(2015年1月23日更新分/選・文=大久)


Russ Ballard / Since You've Been Gone (1976)

 76年、まだアージェントの一員でしたが、自身2作目となるソロ・アルバム「WINNING」に収録された本人版がオリジナルです。この曲をプロデュースしたのは(ディープ・パープルの)ロジャー・グッローバーでした。既にスリー・ドッグ・ナイトやキッスへの楽曲提供で人気作家となっていたラス・バラード本人ですが、オリジナルの時点で既に「完成された」曲だったんですね。
Clout / Since You've Been Gone (1978)

 77年結成の女性5人組バンド、クラウトによるカヴァー。彼女達は78年ライチャス・ブラザーズのカヴァーをヒットさせたことで知られる南アフリカ出身のバンドですが、南アのみならず欧州/豪州各国で1位を記録した「一発屋」として知られています。残念ながらこちらの「SINCE〜」のカヴァーはそれほどヒットしませんでしたが。

Head East / Since You Been Gone (1978)

 同じく78年に残されたカヴァー。69年結成のアメリカのHRバンド、ヘッド・イーストによるヴァージョンです。78年なので、もうHR全盛期をとっくに過ぎた時期。こういうオールドファッションなハード・ポップが生き残るのは結構辛いものがあっただろう、と想像できます。タムの音のダサさに脱力してしまいますね(笑)。
Rainbow / Since You've Been Gone (1979)

 さて、真打ち登場です。グラハム・ボネットが参加したレインボウ79年のカヴァー・ヒット。この曲をレインボウに持ち込んだのは間違いなくグラハム・ボネットで、やっぱりリッチーはこういう曲やるのスゲー嫌だったと推測されます。全英6位となったこの曲は以降ボネットの持ち歌となり、レインボウ以降もMSG、アルカトラス、インペリテリ、他多くの参加バンドで必ずこの曲を披露しています。
Cherie & Marie Currie / Since You've Been Gone (1980)

 まだあります。ランナウェイズのボーカルだったシェリー・カーリーが双子の姉妹マリー・カーリーとのデュオで残したカヴァー・シングル。これまで掲載した動画でもお分かりのとおり、曲がもうキメキメで完成しているので、誰がどうカヴァーしてもほとんど曲調が変わる事がありません(笑)。同曲を収録した80年のアルバム『MESSIN' WITH THE BOYS』はラズベリーズのカヴァーなんかも収録。


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